日本には数多くの「絶景」と呼ばれる場所があります。
奥三河のナイアガラと名付けられた『蔦の淵』は、勇壮で品がある流れを魅せる瀑布として、愛知県では知る人ぞ知る絶景のひとつです。
愛知県北設楽郡(きたしたらぐん)東栄町(とうえいちょう)を西から東へ流れる大千瀬川のほぼ中央に滝は位置します。
落差約10m、幅約70mあります。固い岩盤と柔らかい地層が隣り合い、柔らかい地層が早く浸食・風化することで落差10mの滝つぼが形成された【差別浸食】により、今の景観となりました。
蔦の淵が見られる展望台は、「とうえい温泉」敷地内に車を止め、施設裏手にある遊歩道と階段を下りた先にあります。
写真は、展望台から見えた蔦の淵の滝の様子です。
岩肌をすべるように流れ落ちる滝の水は、さわさわと静かで、轟音によって大量の水がたたきつけるように落ちる滝とはまたちがった趣を魅せます。
しかし、大雨などで流れる水量が増すと、雄々しい流れに変わり、印象も違うのだそうです。
この日は天気も、風も滝の流れも穏やかで、いつまでもBGMで聴いていたい音色でした。染みるとはこういうことでしょうか。
で、自分が取った写真の角度。
『蔦の淵』を絶景と紹介していたガイドブックの写真は、滝を正面でとらえたものでした。
う~ん。そういう写真が撮りたい。と思って行く方法が無いか調べたら、《東栄町のじかん》という愛知県公式HPに載っていました。
とうえい温泉から、川を挟んだ対岸からも滝の全景が見られる場所があります。‹中略›
東栄町のじかん/蔦の渕|奥三河のナイアガラ
駐車場から山手に向かう歩道を進むと川辺まで下りることができ、川から上流方向へ歩き進めると、滝の近くまで歩いていくことができます。※川辺へ降りる遊歩道には、一部滑りやすい箇所、急な階段等があります。足下にご注意の上、不安のある場合はご遠慮いただきますようお願いします。
「不安がある場合はご遠慮」の文字が魂に火をつけました。
全自己責任において行ってみることにしました。
対岸の駐車場までは道案内がしてあるので、迷いません。
舗装されていない駐車場の左奥のしげみ???から入るようです。
すでに冒険のにおいがします。
遊歩道は距離にして150mほどでしょうか。
特に危険な香りもなく、滝口に降りていく階段に辿り着きます。
最初の難関。階段です。
段数は85段。さして大変な段数ではありません。しかし、その後の難所を予想させるに十分な視界が広がります。
強くお伝えします。かかとのある靴では、決して踏み入れてはいけません。必ず怪我をします。
全自己責任で向かう場所です。
なぜなら階段を下りた後、何の案内もなく、舗装もされてない、自然のままの状態の河原が続くからです。
「人が通った感じがする。」を頼りに足場の悪い岩場を滝に向かって歩いて行きます。
100mほど?の距離ですが、小さいものでも10㎝。30㎝強の小岩が続くので、5分程度かかりました。
展望台から人が見えたので、このあたりだろうと進んだ先端で撮った写真が次の画像。
立っている直ぐ先は川。前方の枯れ草が邪魔で滝全体を捉えることが出来ませんでした。
真冬なら、枯れ草も無くなっているのかもしれませんが、私的に満足のいく写真とはいえません。
う~ん。
他に行けるルートは無いものか。戻って、進み、戻って進んでの3回目のルートでついに目の前に開けた場所が!!! 全景を捉えることが出来ました。
とにかく素晴らしいの一言です。視界一杯に水の世界が広がりました。独り占め貸切の景色です。青い空に白い雲が借景となって、水しぶきの白と良く映えます。流れは穏やかでどこまでも優しい。自然と向き合えた充実感で、カフェモカが飲みたくなる最高の時間でした。
行かれる方の愉しみを奪ってはなりませんので、細かな道案内は書きません。が、ヒントは「左側」
決して無理をしないでください。私が辿り着いた場所は、分かりにくいですが、よじ登ったり、水の中を歩いたりはしませんでした。
ただ、終始足もとが悪いので、スマホ片手にという歩き方はお薦めしません。
下手したら転ぶ可能性を考慮して、いつふらついても良いように、両手は使えるようにしておいてください。
次の画像は写真を撮った場所の足場です。つかまるところもなく、平たんな場所もありません。
周囲には誰もいなくて、ただ、滝の音と、鳥の声。風のざわめきと自分の呼吸の音だけの世界でした。
道案内もなく、独りでやり遂げた?見つけた?達成感は何にも代えがたく、非常に気分の良いものでした。
登山家がそこに山があるからだと話す気持ちが判る気がしました。
帰るまでは気を引き締めて。慎重に足を進めて駐車場に辿り着きました。
おまけの冒険
「冒険」がお好きならこちらもお薦め。
蔦の淵から車で30分。国道151号線を南西に下ったところに乳岩峡[公式ホームページ]という峡谷があります。
漢字から受ける柔和な印象とはかけ離れた経験が出来ることうけあいです。
侮ることなかれ。
ここもかなりの覚悟がいる場所です。
安全が考慮されたアスレチックとはレベルが違いますので、スカート、かかとのある靴は厳禁です。
最終目的は【乳/岩】に登ることですが、登らなければ道すがら渓谷の美しい景観を見て楽しむことが出来ます。
写真の通り、水は澄みきって清涼感たっぷりですし、何より空気が美味しいです。
マイナスイオンもお肌を潤してくれるようです。(希望・・です。)
訪れた時期は、5月下旬。新緑の美しい森が広がっていました。秋の紅葉はまた格別なのでしょうね。
乳岩に登らなくても、舗装はされていませんから、やはりそれなりの服装で出掛けられた方が無難です。(スカートとヒールはやめておいた方が良いです。)
さて。
渓谷を進んでいくと行き止まりのような場所に案内板を見つけることが出来ます。
「乳岩一巡20分」あとは各名称が記されただけの図。
既に何かを予感させるに足るほどよくさびれた案内板です。
自分が立っている「現在地」から、案内板の「昇り口」は、道がカーブになっていて見えません。何が待ち受けているのか現在地からは確認できないのです。
「昇り口」に辿り着き、視線は否応なく上に導かれます。
ちなみにさっきから気になっていた「昇り」の漢字。なぜあえてこの文字を使うのか疑問に思って調べてみたら・・・・
・山や木などに「のぼる」場合、行動を見せるために目立つ場所に出る場合は《登》を使う
・空中を「のぼる」場合、垂直に「のぼる」場合、地位が高くなる場合は《昇》を使うと効果的
とのこと。
さ、気を取り直して。
写真の中央に写っているのがは「はしご」です。階段ではありません。「はしご」です。
見にくいとお思いでしょうが、このアングルが一番全景を捉えています。
先の案内板にあったように「はしご」は4つあります。写真の「はしご」は3つ。
そう一番上の「はしご」は見えていないのです。
しぇーーーーーーーー。
この時点で帰る方続出?(時に諦めるのは英断です)
多くは書きません。訪れた方(時)のお楽しみです。
案内板の「鍾乳洞」の中から外を見た景色です。
ここに至るまでに「はしご」を昇り、「乳岩の通天門」を潜り抜けています。
多くは書きません。詳細に書くと面白みに欠けるので書きません。訪れた方(時)のお楽しみです。
もちろんさまざまな事情で行けないこともあります。
ここは愛知県ですから、既に物理的な距離で無理な方もいらっしゃいます。
masudaもコロナ禍を考慮して遠くに行くことをはばかって近場を検索して見つけました。
住んでいる地域でも知らない場所はまだまだたくさんあると思います。秘境でなくても構いませんが、せっかくの秋なので郊外に出掛けてみませんか。
自分の身体を使って、五感を刺激して「経験」をすることはおそらく印象深い記憶になることでしょう。それが後に「思い出」というものになるのだと思います。脳の刺激という意味で、仮想空間の経験も実際の経験と差はないと言われます。いずれにしても、たまにはちょっと無茶をして自分を超えてみると面白い発見が出来ます。
最後に。今回は、無事に帰ってきましたが、過去には事故もあった場所です。『蔦の淵』はとても美しい滝です。是非間近に寄って観て頂きたい絶景です。だからこそマナーを守って、無理をしない行程で、思いきり堪能して頂きたいと思います。
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