パワハラ防止法 ~ハラスメントの現状と未来~

2022年4月から、中小事業主においてパワーハラスメントの雇用管理上の措置が義務化されました。

中小企業も対象に加わったことで、パワーハラスメント対策は「全企業」において取組む義務となりました。

違反して罰則がある訳ではありません。
しかし、対策を怠れば、裁判に発展する深刻な状態を放置したとみなされます。

義務化の背景

ハラスメントが無くならないからです。

ハラスメントとは、英語のharasserからきており、「しつこく悩ます、嫌がらせをする、」を意味する言葉から派生しています。

ハラスメントという言葉が最初に世に出たのは、1975年アメリカの「セクシャルハラスメント」からです。

職場での嫌がらせや迷惑行為が、職場環境・個人に及ぶ影響があるとして問題視されるようになり、日本でも1980年代以降「ハラスメント」という共通言語によってが認知されるようになりました。

作業効率を悪化させたり、仕事が出来ない状況に追い込まれることは、賃金を得て生活をしているものにとっては死活問題ですし、精神の活性として仕事に取り組んでいるものにとっては 人生の時間を奪われることになります。

皆さんも、研修を受けたり、啓発活動などで、行為の例や、リスクなど 学ばれたのではないでしょうか。

認知、周知が進んでいるにもかかわらず、ハラスメントは減少するどころか、増加傾向にあります。

オレンジの折れ線グラフは、
民事上の個別労働紛争相談件数内の「いじめ・嫌がらせ」の割合

緑の棒グラフは、
「いじめ、嫌がらせの相談件数」

図のデータがまとめられた 平成29年度(2017年)の「いじめ、嫌がらせの相談件数」は、72,067件。
令和2年では、7万9190件となり、全体の22.8% という実態です。

増加した・減少しない理由

周知によって相談しやすくなった

教育、認知によって、「受けていること・感じたこと」が『ハラスメント』であると声を上げやすくなったことで数値の増加につながったことは、効果が上がったといえます。
しかし、顕在化したことで、問題が大きいことも明らかになりました。

自分事ではない。

「幸い目の前で起こっている訳ではないし。」「自分はまきこまれていないから。」「実感がわかない。」など
身近な問題と意識しないことで状況に変化が起こらず、ハラスメントの減少に関わっていない状況が生まれています。

さらに厚生労働省の調査結果によれば、従業員の3人に1人が「過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがある」と答えています。

政府広報オンライン 『NO パワハラなくそう、職場のパワーハラスメント』

しかし、引用文にもあるように実態は、他人ごとではない範囲に及んでいる結果です。当事者が1/3ということは、見たり、聴いたり、身近な人がそのような状況となれば、もはや『自分のことではないから』とはいえないかもしれません。

『措置』の内容

パワハラ防止法には、何をどうしろと具体的に示されていません。
企業によって取り組み方が、異なるので自社の情報を確認する必要があります。

概ね以下に沿った対策やフロー、ルールが設けられます。

  • 現状を把握し、予防に努める体制を作る。
  • 相談窓口を設け、連携を図る体制を作る。
  • 再発防止策を実施する体制を整える。

今後

周知、啓蒙活動が進めば、「理不尽な行ない」や「迷惑な行為」に対して、更に声が上げやすくなり、職場環境に対して見て見ぬふりをする人が少なくなっていきます。

「昔は〇〇だったから」という『強いこだわり』は、常識ではなく<個性>となりつつあります。

人の生き方も価値観も多様性を帯び、時代の考えが柔軟になり、拡大して、自由に、尊重し合う方向へ向かおうとするとき、より個々に添った理解が必要になってきます。

事業による対策としてルールに乗る姿勢だけではなく、自ら考える。主体性を持った行動が求められていく時代となっていきます。

出展
職場におけるパワーハラスメント対策が 事業主の義務になりました!
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf
政府広報オンライン/NO パワハラなくそう、職場のパワーハラスメント 平成31年(2019年)4月2日https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201304/1.html

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