『分かり合うための言語コミニュケーション』への質問 ~第6回・受け手~

コミニュケーションの質を高める有効な方法として、
『正確さ』『分かりやすさ』『相応しさ』『敬意と親しさ』の4つの要素が 報告されています。
※文化審議会国語分科会の資料で (分かりあうための言語コミュニケーション(報告))

報告書には、実際のコミニュケーションで、『例えば、こんな時どうすればいいの?』という場面に、4つの要素を活用して質を高めることが出来るとする質疑応答の章もありました。

35の質疑応答の中から、ピックアップして、ご紹介していきたいと思います。
第6回目(10回シリーズ)は、『伝え合うとき、受け手側の意識について』取り上げます。
※第1回からは本ブログのタグ:コミニュケーションに格納しています。

第5回では、誤解のないように伝えようと思っても、コミニケションの食い違いはどうしても起こるものと認識が必要とお伝えしました。『分かり合うための言語コミニュケーション』への質問 ~第5回・誤解~
今回は、伝える側の配慮を期待しつつも、受け手側として注意することは何なのかを考えてみます。

言語コミュニケーションにおける Q&Aの中から

設問 人の話を十分に理解できないことが多いと感じています。受け手の立場で、相手の話をきちんと理解するためには、どのようなことに気を付けたらいいでしょうか。(Q17/35中)

回答 ポイントは2つ。聞くときの工夫と、質問です。
また、理解できた部分、理解できなかった部分を伝えて 自分の理解度を伝えましょう。

masuda

こんなこと?と思うかもしれませんね。しかし、改めて『身についているか』 確かめる良い機会かも。続きを 読んでみてくださいね。

ポイント①聞くための工夫

向き合っている相手、読んでいる活字、『会話』の中に相手の伝えたいことが隠れています。

会話の中から「相手が何を言わんとしているか。」「相手の目的は何か。」など、
相手が伝えたいことをつかむ、あるいは目星を付けるという、探し出すことが聞く時に必要な工夫になります。

ビジネスシーンでは、数値(他にもデータ、時間、場所、事実)が重要なことは周知されていますが、
それでも助詞の「て、に、を、は」が入れば、途端に意味が変化します。

例えば「プラン(計画)」に続く助詞が変化すれば

  • プラン【は】変更しよう
  • プラン【に】補足しよう
  • プラン【を】見直そう
  • プラン【で】継続しよう

と伝えたい意味が変わります。当然会話はこれだけで成り立たないので、助動詞、格助詞など入って文章になれば、解釈は無限に広がるといっても良いでしょう。

ビジネスシーンでは、効率を求められるので、解釈が拡大するような表現は避けるのがベストですが、日常会話は数値や事実の交換だけではないので、注意やコツを必要とするのです。

それが「探し出すこと」です。

日常会話で「自分が主体」になる場合、
特に日本人は「察してほしい」文化が根強く、そのものずばりを言葉にせず、外堀から埋めたり、匂わせる表現で「相手に理解を委ねる」傾向があります。

気持ちの表現や、相手にとって都合が悪いこと、主張したいことや、強い表現は特に避ける傾向にあることは覚えのあることではないでしょうか。

masuda

直線的な表現を避けるのは、相手の出方を伺うなどの【関係性】にも表れます。

単語に助詞。文章になって…そこに遠回しの表現も入ってくる…「めんどくさいな」
一字一句に注意を払うことなんて「難しいし、無理」は当然の思いかもしれません。

「独り言」と「会話」には相手がいるかいないかという明確な違いがあります。
「会話」には、相手に「知ってほしい」という《欲求》と、《希望》が込められてます。このため様々な情報が詰め込まれているのです。

受け取ってもらいたいことを受け取ってもらえた時、相手は充足した気持にもなります。

【メモの効用】
ビジネスシーンなどでは『メモを取る』が聞き洩らさないための有効な手段であることは浸透していますね。
メモを取ることは
相手に対して、「聞いています」と表明する意味にもなり
自分に対して、「話の要点をつかむ」ことをしているわけです。

同じことを会話や、伝え合う時に、『この話の要点は何かな』と、心や頭の中でメモ(意識する)すれば、会話に集中できますし、理解の手助けになります。
また、相手がこちらの表情を読み取るなどして、理解しているかどうかの目安を与えることもできますね。

ポイント②質問の大切さ

相手が、結論から、起承転結、5W1Hを組み立てて話すとは限りません。
ポイント①で述べたように、受け手側に理解を委ねた表現の場合、言葉の裏や、イメージ、察して欲しいニュアンスなどが混在し、はっきりとした「意図」が判らないときもあるからです。

曖昧な返事で応えれば、相手は「自分の言いたいことはしっかり伝わっている。」と考えます。

相手の話が明確でなかったり、推測も難しい場合は、質問するしかありません。
あるいは確認することで相手の伝えたいことが絞れます。

masuda

相手に話の配慮が無かったとしても、「分かりません。」は、(気持ちはわかりますが)質問ではなく、攻撃になってしまいます。


分かった部分はここで、分からなかった部分はここ。とたずねてみましょう。

理解したところ、不明瞭な部分があったと解れば、伝える側はそれを補う説明をし、受け手は疑問が解消することで、会話の質が向上します。

質問することは相手にとって失礼なんじゃないの?
一度で理解しないのは失礼では?

masuda

いえいえ、伝える側も「わかってくれているのかかな?」「大丈夫かな」と不安に感じていることもあります。
質問や確認をしてくれると、「質問してくれるほど興味を持ってくれた?」や、「ここはやっぱりわかりにくかったんだな」と伝える側の不安を払拭することもあるのです。

言い方の例
「ここまではよく分かりました。」、「この部分は理解できました。」と伝え、
「この部分について、もう一度教えてもらえますか。」「ここについて確かめてもいいですか。」「こんな風に理解しました。大丈夫でしょうか」と質問、伝えてみる。
関係性によってはもう少し砕けた表現でも問題はないでしょう。

補足:タイミング

とはいうものの、質問や確認する時に難しいのは『タイミング』。

①いきなり話の腰を折るのも悪いし、⇒ヒント
②大勢の前でだったら質問すること自体 はばかれるし、⇒ヒント
③もしかしたら「こんなことも判らないのか」と思われるかもしれないし・・⇒ヒント
などなど


参考までに
①-a ”わかってない”オーラを匂わせてみる。首をかしげてみたり、視線を外してみるなど、相手がこちらに注目やすいボディーランゲージを発してみる。
①-b 時間をずらして改めて確認しに行く。
①-c 返答のタイミング、うなづくタイミングで、質問・確認をしてみる。
①-d 手を上げるなど積極的な態度で表明してみる。

②-a 質疑応答の時間を利用する。
②-b アンケート用紙など別の媒体を利用する。
公の場では、「会話」そのものが成立しない場合もありますが、公の場で発言ができたなら、日常会話での質問や確認はハードルがかなり低くなるはず。

③この理由が一番多いかもしれませんね。
弱気になっても『聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥です』です。時間がたてばたつほど聞きにくくなるのは世の常です。
相手が年下、普段良い関係性ではない。など理由は沢山あっても、「知る」「理解する」のみにに集中しましょう。

今回の質問で、4つの要素として、おさえたいポイント。 意識したい5つの要素から
『分かりやすさ』④互いの知識や理解力を知ろうとしているか『相応しさ』⑤互いの言葉や言葉遣いに対して寛容であるか

出展
文化庁
https://www.bunka.go.jp/
文化庁/「分かりあうための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/04/09/a1401904_03.pdf
パンフレット:「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/wakariau/pdf/r1403493_02.pd

質問によって会話の理解が深まれば、次の一手が打てますし、怖くなくなります。テレワークなどで実際の距離も遠くなりがちで、メールによるコミニュケーションに頼らざるを得ない場面も多いですが、人の言葉に触れると温かな気持ちになれます。大事なことは言葉で伝え合ってみましょう。

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