認知バイアス ~判断・決断・意思決定しているもの~

私たちが普段行っている 判断・決断・意思決定
あらゆる問題について、意味を把握して、論理的な思考力を使って判断、選択をしていると考えています。

しかし、時として『不合理な思考パターン』が働くことがあります。

例えば、
ルーレットで赤ばかりがしばらく続くと、次は黒が出ると考えることはないでしとょうか。

次に出る色は判らないのに、赤がしばらく続くと、「そろそろ黒がでるだろう。」と考え、「確実な情報(予想)」にすりかわってしまいます。
しかし、実際の確率は同じなのです。

この『不合理な思考パターン』の正体は、「個人的な理屈」です。
そこには「そうなって欲しい」と考える希望や、希望を裏付けたい理屈が働いています。

個人的な理屈にも関わらず、同じような傾向をとる思考パターンというものが存在しています。
さまざまな思考パターンを心理学の用語では「認知バイアス」と表現します。

今回は、普段冷静に物事を判断していると思っていても実際には様々なバイアス(人の思考や行動にある偏り)が生じていることを紹介していきます。

masuda

最初に、認知バイアスは、そういうこともあるのだという認知を広げる手助けです。決して誤りを正す考えでも、評価する態度でもありません。心理学で表現される事柄を見ると、良い悪いの判断材料とされることがありますが、「知恵のアンテナが広がった」程度で良いと個人的には考えます。

代表的な『アンカー効果』

認知バイアスとして有名な、アンカー効果を紹介します。
アンカリング効果とか、ファスナー効果とも呼ばれています。

最初に見た数字、情報を重視しすぎたまま判断してしまう 思考パターンです。

例えば、
新しいお気に入りのバックが欲しくてお店を散策中です。バックの予算は2万円です。
ふと目に留まったお店に売りだしポスターが。

『閉店セールにつき、ブランド品のバック大放出。通常5万円のバックを2.5万円!!』

この文言をみたとき、

バッグを買う気で資金も懐にある状態。そんな時に目の前に啓示のように目に飛び込んだ言葉。

心の中で、「通常5万円が半額になっている?!閉店セール?今度来ても、もう売っていないかもしれない。しかも手も出ないと思っていたブランド物が?今買っておかないと!!」

と頭の中でよぎる。よぎるだけでなく、実際にお買い上げ てなことに。

予算は2万円。出来ればもっと抑えたいと考えていたにもかかわらず。というあるある。
他にもっと探せば、予算以内でお気に入りが見つかったかもしれません。

結果をとても意地悪く書けば、
《お気に入りのバック》となるはずが、
《予算以上でお気に入りになるかは分からないバック》に代わっています。

アンカー効果は、得た情報が まるで船の碇(アンカー)のように心の中に強く残り、その情報があたかも自身にとって求めていた情報かのようにすり替わってしまう心理状態を言います。

私たちが判断しているもの

最初にお伝えしたいのは、『認知バイアス』は間違いを指摘するためのものではありません。

先のバッグの買い物でも、高品質のバックが文字通り半額で買えたのなら、長い目で見た時お得な買い物だったと言えるでしょう。

それでも、最初求めたバックがコンパクトなものだったけれど、実際に買ったものはボストンバックだった場合、こんなつもりじゃなかったのにな。と思う時があります。

このように、私たちの意思決定は、常識や、経験則、論理的に考えたつもりの推論でも、突発的に顕在化した理屈によって、必ずしも納得や信頼できる結果に導かれないことが起こります。

一見合理的な判断をしたつもりでも、それは体験の中から自分の中に作り上げられたガイドラインです。
そのガイドラインも正確な実像を提供してくれない可能性があることを知る必要があるということなのです。

私たちのガイドラインは、狭い範囲での個人的な考えや 信念の影響を受けているかもしれません。

自分の下した判断は、合理的だと感じた線引きや思い込みによって、
非合理的な意思決定をしてしまう可能性を秘めています。

アンカー効果でお伝えしたケースでは、「バックが欲しい」「お金は2万円持ってい(クレジットならそれ以上も可能)」という土壌が揃っていることも条件ではあります。
バックの必要性がなく、現金でしか買い物の習慣がなく、数千円しか持ち合わせがないとなれば、そもそも最初のポスターに目がいっても、心が動くことはなかったでしょう。

意思決定には様々な要因が複合的に組み合わさっています。自分でコントロールすることは時に難しい場面もあり、偶然が引き起こす思わぬ効果によって、結果的に幸運となるケースも秘めています。

こんな認知バイアスも

アンカー効果以外で7つ紹介します。
※〇〇効果と表現されないものもあります。

「皆が間違うはずはない」:バンドワゴン効果

多数の人が正しいと考えているからきっと正しいのだろうと判断してしまう。

良さそうに聞こえる:フレーミング効果

肯定的に表現されていれば肯定的にとらえ、否定的に表現されていれば否定的にとらえて判断してしまう。

「今すぐほしい」:双曲割引

行動経済学の用語で語られることもある。将来の利益より、目先の報酬がもたらす決断を好むこと。

馴染んでいるという罠(わな):現状維持のバイアス

何らかの変化につながる決断を下すより、現在のままにして起きたい気持ち。

怪しい賭け方

何かが起こる確率は、過去に起こったことによって変わるという思い込み。
※冒頭のルーレットの例

勘に頼る

判断に迷っている時、統計を無視して、直感に従う場合がある。確率には目をつぶるという態度。

事実の無視

たった一つの似たケースをもとに判断し、大多数に起こることを無視する。

masuda

最後にもう一度。認知バイアスは、そういうこともあるのだという認知を広げる手助けです。決して誤りを正す考えでも、評価する態度でもありません。心理学で表現される事柄を見ると、良い悪いの判断材料とされることがありますが、「知恵のアンテナが広がった」程度で良いと個人的には考えます。

認知バイアスをもっと知りたい

お薦めのサイトがあります。
専門で研究、収集されている方々が公開しているサイトです。
錯思コレクション100 といいます。

『記憶』『意思決定・信念』『他者・自己』のカテゴリに分かれ、

それぞれに、【タイトル】【英語表記】【キーワード】で示された扉から移動できます。

虚記憶への扉

導入の言葉の後、例題と解説が続きます。

現在100以上のタイトルがあって、心理学に興味がある方は飽きないと思います。

動画も準備中となっており、今後も追記更新されていくようです。

錯思コレクション100
池田まさみ・森津太子・高比良美詠子・宮本康司 (2020). 利用可能性ヒューリスティック 錯思コレクション100
https://www.jumonji-u.ac.jp/sscs/ikeda/cognitive_bias/
※錯視にもじって<思う>を用いています。

参考文献
『10代からの心理学図鑑』マーカス・ウィークス 著 渡辺滋人 訳 三省堂

ある程度の年齢になれば、「自分の経験則は良識、常識を捉えており、その判断や意思決定は間違いは少ない。」と思うもの。私も同じです。
先のルーレットの希望や、バーゲンでのあるあるは、実際に経験済みです。もちろんイソップ物語の「狐と鶴」(機会があればイソップ物語も取り上げたい)のような負け惜しみでごまかします。
いくつになっても『足るを知る』って大事なんですね。

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