一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて ~財務省からの報告~

令和4年(2022年)
一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて 』が財務省から報告されています。

令和3年10月~令和4年5月にかけて、一橋大学、早稲田大学、明治学院大学、学習院大学の教授らで研究会が催され、その研究報告がまとまったという内容です。

会社の経営、事業の方向性、各部署における指針を検討していく上で日本の動向を知ることは大切ですね。
報告内容は第1章から第7章にわたって公開されています。

各章の論旨をさらにポイントを抜粋して紹介します。
興味重要と思われる箇所へ移動できるように各章の全文pdfもリンクしています。是非参考にされてくださいね。

第1章 仕事・働き方・賃金を巡る変化と課題
第2章 職業とタスクからみる仕事と賃金のジェンダー格差
第3章 チャイルドペナルティとジェンダーギャップ
第4章 自営業者の働き方―職業・収入・制度・仕事環境に着目して
第5章 性別役割分業、長時間労働とジェンダーバイアス
第6章 女性の労働参加・労働時間の選択
第7章 男女間賃金格差の国際比較と日本における要因分析

第1章 仕事・働き方・賃金を巡る変化と課題

全文(PDF:1182KB)

要旨より抜粋

今後、人口の減少が続き、産業構造や技術が大きく変化する中で、一人ひとりが能力を発揮し、高い付加価値生産性を実現し、その成果を享受できる社会を目指していくことが必要とされる。

働く側の視点、雇う側の視点、さらに社会全体の視点から、現状を把握し、課題を認識し、あるべき政策を考える必要がある。

仕事・働き方・賃金について、目指すべき方向に向けて、どのような課題があり、どのような対応が必要と考えられるかについて、研究会における議論を踏まえて整理した。

第2章 職業とタスクからみる仕事と賃金のジェンダー格差

全文(PDF:1024KB)

要旨より抜粋

日本の男女間賃金格差はOECD諸国のなかでもきわめて高い水準にあり改善が急務である。
格差を生む要因として2つの指標を用いて明らかにする。
結果は以下の3点にまとめられる。

第1に、男性と女性は異なる職業に従事しており、この傾向は1990年から2015年にかけて大きく変わっていない。若年層については近づいている。
第2に、女性は男性に比して高度な技能を要する非定型タスクに従事していない。こうしたタスクに従事する女性の分化が進んでいる。
第3に、男女の従事する職業とタスクの違いは男女間賃金格差を一定以上説明する。

第3章 チャイルドペナルティとジェンダーギャップ

全文(PDF:851KB)

要旨より抜粋

先進国においてジェンダーギャップの縮小が進んできている。
しかし、ジェンダーギャップの「残り」は未だ大きく粘着的である。
その「残り」を説明する要因として近年改めて注目を浴びているのが、チャイルドペナルティ。
日本のチャイルドペナルティは、各国と比較しても大きく、各国と同様に専ら女性に帰属していることが確認された。このことは、日本においてもチャイルドペナルティがジェンダーギャップにとって重要であることを強く示唆している。
チャイルドペナルティの縮小に貢献する保育サービスの「次の一手」とは何かを考える必要がある。

第4章 自営業者の働き方―職業・収入・制度・仕事環境に着目して

全文(PDF:968KB)

要旨より抜粋

新型コロナウイルス感染症の拡大下における自営業者の働き方を検討した。
主な分析結果は次の3点である。

第一に、職業の分布は専門・技術職の比率が相対的に高いことが示された。本稿で用いたデータに基づくと、雇人なしの自営業者については男性で約30%、女性で約40%が専門・技術職であった。

第二に、感染症の拡大による影響は、非正規雇用者の生活よりも自営業者の生活においてより大きな打撃を受けていることが明らかとなった。

第三に、就業パターンと仕事環境の関連はジェンダーによって非常に大きな差が生じていることが示された。

第5章 性別役割分業、長時間労働とジェンダーバイアス

全文(PDF:1132KB)

要旨より抜粋

日本において大幅な男女賃金格差が継続している要因としては、性別役割分業意識が根強いこと、長時間労働の賃金プレミアムが大きいこと、ジェンダーバイアスが多くの日本人の考えや判断に影響を与えていること等が挙げられる。

性別役割分業意識を修正:意識変革のために働きかけを行う必要がある。
長時間労働の賃金プレミアムを低下させる:社員がより補完しあえる設計していく
ジェンダーバイアスを修正:経営陣の責任を確立し、女性管理職の育成状況の可視化・情報開示を義務付ける政策が効果的となろう。

第6章 女性の労働参加・労働時間の選択

全文(PDF:1656KB)

要旨より抜粋

本稿では、①女性の労働参加と、②女性の就業調整に関わる制度上の要因、という大きく2つのテーマについて考察する。
年収の高い夫を持つ妻の就業率は低いという「ダグラス=有沢の法則」の関係性は、今でもかなり強く維持されている。

2016年以降の税制、社会保険制度における適用範囲の変更は、103万円と130万円の年収への就業調整行動を緩和させる効果を持つことが想定される。
しかし、女性の年収分布において予想された壁の解消には至っていない。
この要因としては、人々の認識のタイムラグや、雇主が支給する配偶者手当の効果などの影響が考えられる。

第7章 男女間賃金格差の国際比較と日本における要因分析

全文(PDF:1489KB)

要旨より抜粋

国際比較から見えてくる日本の男女間賃金格差の特徴を明らかにした上で、その背景にあると考えられる仮説の検証を行った。

日本の女性の就業率は他の先進諸国と比べて相対的に高く、パートタイム比率も他国と比べて極端に高いわけではないことが分かる。
男女間賃金格差は、フルタイム労働・所定内労働に限った男女間賃金格差よりも大きい。

Goldin(2014)は米国の労働者のデータを用いて長時間労働に対する賃金プレミアムの仮説を示した。
日本の男女間賃金格差が職業の代替可能性に依存していないと結論付けることはできず、適切でない可能性がある。

そこでパネルデータを用いて、各個人に関して働き方と賃金の関係を分析したところ、働き方の自由度が高く、仕事内容が単純な人ほど賃金が低くなることが明らかになった。また、男女間賃金格差との関係としては、女性の従事する仕事が、自由度が高く、仕事内容が単純なものに偏っていることから、男女間賃金格差とこれらの仕事の性質が関係していることが示唆される。

出展
政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/index.html
一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて
https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2021/shigoto.html

様々なデータ、多方面からの理論。異なる視点。研究分野から得られた結果は方向を定める指針になり得ても、行動におこし変化させることが出来るのは、最前線にいるビジネスパーソンに他なりませんね。
誰かの話ではなく、今目の前、隣にいる人たちとの連携について語りかけられています。
支え合って、響き合って、なるべくなら良い方向と感じられるように行動出来たら素敵ですね。
私も応援することで支えいけたらと思っています。

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