『分かり合うための言語コミニュケーション』への質問 ~第3回・正確さ~

2022年1月21日で取り上げた「分かり合うためのコミュニケーション」。

コミニュケーションの質を高める有効な方法として、
『正確さ』『分かりやすさ』『相応しさ』『敬意と親しさ』の4つの要素が 報告されています。
※文化審議会国語分科会の資料で (分かりあうための言語コミュニケーション(報告))

報告書には、実際のコミニュケーションで、『例えば、こんな時どうすればいいの?』という場面に、4つの要素を活用して質を高めることが出来るとする質疑応答の章もありました。

35の質疑応答の中から、ピックアップして、ご紹介していきたいと思います。
第3回目(10回シリーズ)は、『4つの要素のうちの正確さって何?』を取り上げます。
※第1回からは本ブログのタグ:コミニュケーションに格納しています。

コミニュケーションの質を高めるための「正確さ」って何を指しているのでしょうか。

言語コミュニケーションにおける Q&Aの中から

設問 言語コミュニケーションの上で「正確さ」に配慮するとは、どういうことでしょうか。(Q6/35)

回答 4つの要素でいうところの「正確さ」は伝え合う内容に関わることです。
   伝え合う内容とは、互いに共有すべき「情報」や「気持ち」のこと。
   その情報や気持ちを過不足なく、誤解なく伝え合うこと。受け止め合うようと努めることです。
   

解 説

4つの要素でいうところの「正確さ」は、主として伝え合う内容をさします。

一般的な数値の正否ではなく、自分の伝えたいことが受け手と共有できたか正確さのカギと言えます。

公共機関、業務報告における数値やデータ・申請書類などは曖昧な表現はありません。白は白。1は1です。15分は15分と表記され、”このバスはもしかしたら15分に来るかもしれません。”などと表現されることはありませんね。

人とのコミニュケーションにおいてはどうでしょう。

YES NOや確認だけで済ませられるやりとりはあまりしません。
例えば、Aという事柄を伝えるにも、「Aです」で終わる場面はごくまれです。
「A」が単なる表記でく、背景や成り立ち、根拠が伴えば、説明や思いが存在するからです。

先の業務報告の結果データでさえ、数値の裏には根拠となる背景があります。報告はそれらを排除して数値だけを見ますが、本来背景の「努力」も見てほしいと考えるのは人間の性です。

先のAを普段のコミニュケーションで伝える時、実際には、

Aかなぁ。
Aだと思う。
Aと聞いたよ。
Aかもしれない。
Aだと良いな。
Aと思わない?
Aしかない。
Aは駄目だ。
Aだったよね?

伝える側の目的や主観、受け手の状況など含めれば表現はさらに拡大します。

如何に脚色を抜いた表現であっても、さまざまな価値・主観のフィルターを取り去ることは難しく、互いのフィルター越しにAは伝わります。

したがつて、相手に伝えたい「事柄・情報」は、必ずしも自分の考えの通りに伝わっていいない場合があるのです。

だから、「そういったよね?」「え?言ってないよ」「こういうつもりだったのに・・・」「そんなこといわれても・・・・」などの相違がおこります。
相違に気づいてその場で訂正や修正がなされれば素晴らしい展開ですが、「言いっぱなし」「聞きっぱなし」も世の常です。

誰が悪い、何が悪いという犯人捜しは無意味です。十人十色が基本である以上、コミニュケーションはその結果において満足できたかを問うべきであって、満足のいかないものであれば、再挑戦するしかないのです。

正確さとは、AがAであるという情報の確かさはもとより、自分が伝えたいと思う事柄を伝わるためには、工夫が必要だといえます。
用語、言葉、言い方においても、心を配ることが大切ということ。伝わって欲しい気持ちが補完する態度によって伝えたいことが相手に伝わります。

4つの要素である『分かりやすさ』や『敬意と親しさ』もポイントになりそうです。

相手に伝わらないのは、相手の理解力が乏しいからだと切り捨ててしまわず冷静に。
相手にくみ取って欲しい。と考える気持ちは本来の目的から遠ざかります。目的は相手に「A」を伝えることだと集中しましょう。

相手に頼るのではなく、自分の伝え方が足りなければ、相手には伝わらない。という冷静な判断が必要です。慎重になる必要があるということです。

相手の立場、環境、年齢、同じ言葉を使っていてもあいまいな表現ではニュアンスが違っている可能性も。
想像しながら、伝えたい意図することが、鏡のように伝わっているだろうかと心を砕くことが「配慮」と言えます。

masuda

伝えられた側も、「あなたの情報がわからない」という情報を伝える姿勢も、大事になりますね。

伝えることが「気持ち」の場合

日本では、あからさまな表現を避け、察してもらうのを良しとした傾向がありましたが、世代や生活習慣などが異なる人との間では,察し合いが難しくなっています。
共感と同情、悲しみと怒りなど、場合によっては感情を取り違えてしまうこともあります。気持ちは正確に伝え,受け止め合うことも大切です。

masuda

一度で、全てを。は、いかなる情報も、気持ちも、難しいですよね。自分の意図することが相手に伝わっているのかな? もしかしたら伝わっていないかもしれない。タイミングをずらしたり、何度かに分けたり、後で確認するなどして伝えあいましょう。

4つの要素として、おさえたいポイント。 意識したい5つの要素から
『正確さ』①意図したことを誤りなく伝える言葉を用いているか
『分かりやすさ』①相手が理解できる言葉を互いに使っているか②情報が整理されているか
『相応しさ』① 互いの気持ちに配慮した伝え方を考えているか

出展
文化庁
https://www.bunka.go.jp/
文化庁/「分かりあうための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/04/09/a1401904_03.pdf
パンフレット:「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/wakariau/pdf/r1403493_02.pdf

話しているのは日本語なんだから、伝わっているのが当たり前。下手をすれば「私の気持ちすら伝わっているよね」と考えたり。逆に分かってもらえないのなら「もういいや」とあきらめたり。
余程強い思い入れのある相手でない限り、1分以上続けての話は、集中力が欠けていく報告データもあるくらい。自分の話は意外と伝わっていないことの方が多いのです。
コミニュケーション、会話は本来楽しいものです。少々窮屈だなと思える瞬間があっても、話のラリーが続けば発見や理解が進み、相手のことを判るだけでなく、自分の気持ちもよくなります。
サン・テグジュペリの「星の王子さま」のいうところの「特別」になっていくのです。
継続だけでなく、一期一会の会話にも「特別」は生まれます。
masudaが活動している『エール』でも毎回「特別」が生まれます。

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