コミニュケーションの質を高める有効な方法として、
『正確さ』『分かりやすさ』『相応しさ』『敬意と親しさ』の4つの要素が 報告されています。
※文化審議会国語分科会の資料で (分かりあうための言語コミュニケーション(報告))
報告書には、実際のコミニュケーションで、『例えば、こんな時どうすればいいの?』という場面に、4つの要素を活用して質を高めることが出来るとする質疑応答の章もありました。
35の質疑応答の中から、ピックアップして、ご紹介していきたいと思います。
第5回目(10回シリーズ)は、『伝え合うときにおこる誤解』を取り上げます。
※第1回からは本ブログのタグ:コミニュケーションに格納しています。
5W1Hとまではいかないけれど、ちゃんと伝えているから私は大丈夫。多少誤解があっても、成立しているんだからいいと思うと考えていても、と不安に思うことも。大事な局面ではなおさら。実際はどうなのでしょうか。
言語コミュニケーションにおける Q&Aの中から
設問 自分の言ったこと、書いたことが、思ったとおりに相手に伝わらないことや、相手の意図をうまく受けとれないことがあります。誤解は防げないものなのでしょうか。(Q11/35中)
回答 伝え合いでの誤解は、ちょっとしたことで、いつでも起こり得るものです。誤解は自分が意図せずとも起こりかねない。と意識する必要があります。
実際はどうなのか、また、どのような場合に誤解が起こりやすいのか、具体的なケースをお伝えします。
仕組みを知ることは、誤解を少なく出来るヒントになります。
実際に誤解は起こっているのか
言語コミニュケーションにおいて、互いの言いたいことがうまく共有できなかったり、誤解されたりすることは決して珍しいことではありません。
図は、資料の中にある世論調査の結果グラフです。相手の話を聞く時も、自分の話をする時にも、おおむね3分の2の人たちが、実際に誤解を経験したことがあると回答しています。
Q1:誰かの「話を聞いて」、”相手の言いたかったこと”と、”自分の受け取ったこと”が食い違っていた経験。
「ある」の回答。66.5%
Q2:誰かに「話をして」、”自分の言いたかったこと”が、”相手に”上手く伝わらなかった経験。
「ある」の回答。63.4%
どちらの設問にも おおむね3分の1の人が、(食い違う経験は)「ない」と回答しています。
しかし、Q1もQ2も、感覚的な違和感や、双方の言い分の食い違いを経験した回答です。
(食い違う経験は)「ない」と回答した人は、食い違いに気付かず 会話をすすめている可能性があるのです。
言葉の誤解がおこるのは何故か
言葉そのものが、正しくやり取りされていない場合がある。
- 言い間違い
- 聞き違い
- (書いた時の)誤字脱字
- (頭で漢字に変換した時の)読み(聞き)取りの誤り
- 一部だけ受け取って判断する
など、言葉自体が うまく伝わっていない(受け止められていない)場合には、分かり合うことは難しいといえます。
人が1分間に話す言葉の数は300文字。活字のように読み返せる場面と違って、会話では、誤植なく一文字漏らさずやり取りされていないまま進む可能性があります。
時に言葉は、伝えたいことを伝えるための「手掛かり」にすぎない場合がある。
例えばペンが必要な場面で、「ペン、ある?」と言った場合。
・文字どおり、ペンがあるかという有無を問う。
・ペンを”貸してほしい”、という依頼が込められている。
・”ペン”も、「鉛筆」ゃ「ボールペン」、あるいは、単に「書くことができるもの」を必要としているなど
たったの2単語に、状況や文面などで伝えたい意味は変わります。
誤解を生む土壌にあふれる現代。
例え”言葉”が 過不足なく届いても、相手の”言葉”をきちんと聞き取り、読み取っていたとしても、
相手が伝えようとしていることをつかめているとは限りません。
それは、伝える言葉や単語に いちいち気持ちや理解してほしい感情や状況を乗せて会話はしないからです。
気持ちや理解してほしい感情や状況は、補足なので必然的に伝える量が増えます。
LINE、Twitterなどの文字数に制限のあるSNSや、インターネット記事でさえ省略したタイトルにあふれ、その状況にに慣れている現代。
仕事では、効率を求められ、経過より結果から先に言えと言われ、日常会話にさえ要領を求められる傾向にあります。
多様性が広がり、価値観や考え方が増えてきているのに、伝える手段は、より軽量化へ。
にもかかわらず、難しい言葉や言い回し、熟語を避け簡単に伝える簡略を求められます。
こうした矛盾に誤解が生まれないのはむしろ奇跡です。
誤解を防ぐには
言葉による伝え合いをした時、”言葉”自体が上手く届いていないこと、また、言葉そのものが届いたとしても、込められた意味が伝わらないこともある。
これは自分だけにおこっているのではなく、誤解や食い違いは多くの人が経験します。
「誤解」や「食い違い」を防ぐのは難しい
結論として、『誤解を防ぎきることは難しい』あるいは、『誤解を防ぐことはできない』という認識を持つこと。
原因は 言葉自体が伝わっていなかったり、伝える意味の内容が共有できていないことはお伝えしてきました。
身もふたもない結論ではありますが、はじめから「自分の伝えた内容は100%同じ内容では伝わらない」と覚えておけば、その対策を講じることができます。
つまり、伝え合う過程で、要約や質問をしながら 双方の共通認識を深めていけば、誤解や食い違いの割合を減らすことは 可能なのです。
一度で何もかも自分話したことが相手に伝わると思うのは、それこそが誤解なのかもしれませんね。
今回の質問で、4つの要素として、おさえたいポイント。 意識したい5つの要素から
『正確さ』①意図したことを誤りなく伝える言葉を用いているか③親しさをうまく伝え合っているか
出展
文化庁
https://www.bunka.go.jp/
文化庁/「分かりあうための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/04/09/a1401904_03.pdf
パンフレット:「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/wakariau/pdf/r1403493_02.pdf
資料は、『冗談のつもりで言ったことが真に受けられる、断ったつもりが伝わっていない、心から褒めたつもりが皮肉と受け取られるといった経験をすることも少なくありません。』と続きます。
人は、人生経験上、直接的な表現を避け、選択した言葉に「受け取って欲しい思い」や「察して欲しい気持ち」を乗せて伝えたりします。
しかし、信頼関係や親密度によっては、「思い」や「気持ち」は”言葉”以上に伝わっていない。と認識したほうが良いかもしれませんね。
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