Z世代がわからない

先日ある番組で、「Z世代がわからない。」と出演者が言ったコメントに引っ掛かりを覚えました。

【注意】
本記事は、Z世代の他にも~~世代という世事に触れますが、決めつけや固定観念を植え付けるものではありません。ある言葉への私見として表現させていただきました。感想などコメントいただけると幸いです。

目次

テレビ番組でのコメント

「Z世代がわからない。」

番組内で、ある国のコマーシャルが紹介されました。ストーリー仕立ての紹介映像は刺激的で「理解」を超えた内容だったにもかかわらず、Z世代には受け、その商品が店頭から無くなる現象が起こったという作品は対して発せられた言葉でした。

コメントをかみ砕くと、『この作品が受ける(刺さる)というZ世代の感覚がわからない、こういった表現が受けるという価値観がわからない。』といった内容だろうと想像しました。

冒頭で感じた引っ掛かりの正体は、「わからない」と発した《考え》に対する違和感でした。

正確にはこの言葉の後に「わからない自分が怖い」といった内容が続いたと思います。テレビ番組のコメントなので編集されて、切り取られているので、出演者の真意を正しく放送できていたかは分かりません。

いつ、誰が何に対して言ったかということより、
「Z世代がわからない」と考える大人世代が、実は自分も含めて多いだろうと想像したこと。

こういった世代間で使う「わからない」という言葉には、一種【壁】が含まれてはいないだろうか。
分からない、理解できない。と距離をとることで、未知の世界を遠ざけてはいないだろうか。

なぜ「わからない」という言葉に違和感を感じたのか、深堀りしてみることにしました。

うまれた「世代間」

育まれた時代によって、「世の中にないもの」や「既にある当たり前」には違いがあります。

例えば、私が生まれた1960年代にはテレビ番組を録画するレコーダーなど一般家庭には普及していませんでした。だから、見たい番組があれば急いでテレビの前を陣取り、家族一台のテレビで見る番組を交渉したりもしました。でも、今は一週間の全番組録画など当たり前になりつつあります。たとえリアルタイムで見られなくても、録画された番組を後からゆっくり見ればよい。動画配信サービスや、スマートフォンなどの機器により、家族でチャンネルを争奪するなんてこともありないというスタイルに変わっています。

「以前は、歩いて八百屋さんに買いに行ったものだよ。」と聞かされても、「今はインターネットで豊富な種類の中から買えて、しかも家まで届けてくれるようになった時代になったよ。」と返されるのが落ちです。

生まれた時に存在していた機器やシステム、社会通念といった環境の違いは、価値観や考えに影響を及ぼすであろうことは容易に想像できます。

特に情報量で比較したときのそれぞれの世代では、歴然とした差があります。価値観や物の捉え方、処理するスピードの違いは、頑張って習得した世代と、感覚的に操作できる世代とでは火を見るよりも明らかです。

特徴ごとに《〇世代》と表現したのはアメリカですが、日本でも《Z世代》という言葉を聴くことが多くなりました。Z世代に対して、X世代、Y世代があります。

世代の特徴

生まれた時代を世相に合わせ~世代と意味づけしたのはアメリカからスタートしました。
X世代:1960年〜1974年生まれ
Y世代:1975年〜1990年代前半生まれ
Z世代:1990年代後半〜2010年初頭の生まれ
※ただし、これらの分類は厳密に年代が決められているわけではありません。

X世代

アナログが主流で、デジタルの黎明期を経験。
アナログやデジタルを選択できて、知らなくても生活に特段困ることはなかった。
アイテム:現金、固定電話、連絡、伝達は紙が当たり前。

Y世代

アナログを知っている人もいる。私生活のデジタル化が企業でも取り入れられるようになる。
新規で覚えるならデジタルが有利となり、知っていると便利など情報量の差が現われはじめる。
アイテム:クレジットカード、(ガラパゴス)携帯電話、伝達はメールが台頭する。

Z世代

私生活、学校、企業のデジタル化が進み、画面から見ることが多くなる。
対外的な応対も私的空間で完了できるようになる。情報は自ら求めるだけでなく到来し、拡散する時代。
アイテム:電子決済、スマートフォン、メール・SNSでインターネット上の交換が主流。

Z世代をもう少し詳しく⇒Z世代

1960年から2010年までのおよそ50年間。受話器を肩で挟んでメモを取っていた時代から、スマホで画面をキャプチャーする時代に変化したのです。

簡単に書きましたが、仕事、生活、人間関係に対する特徴を列挙すればスペースが足りません。
特徴的な事柄を書いただけでも、処理する情報量が爆発的に増え、決定するスピードがあがり、自らの選択から他者から要求されるようになった変化がみてとれます。

余談ですが、2022年大河ドラマで描かれた鎌倉時代に置き換えると。1180年に源頼朝が挙兵して約50年後、北条義時の息子、北条泰時が御成敗式目を制定するのが1232年です。
朝廷から武士の世へ移る年数とほぼ同じと考えると感慨深いものがあります。

「わからない」で片づける

生まれた環境によって培った世代間の「違い」は、経験の積み重ねから生じるものなので、言葉でこうだと説明されても自分のことのように理解するには時間がかかります。

簡単に理解することが出来ない「違い」は、いつしか「わからない」に集約されて、遠ざける壁を形成しのが現代の特徴とも言えないでしょうか。

「分からない」はっきりしていない状態
「判らない」判断できない、区別できない状態
「解らない」理解できない状態

「わからない」は無責任

先の歴史の例えですが、鎌倉時代の挙兵があったから、混乱期を経て御成敗式目の制定につながっていきます。
武士社会の黎明期は下剋上を生み、戦国時代を経て、一つの終着点である江戸時代を迎えます。しかし、関ヶ原の因縁が倒幕に拍車をかけ、草莽崛起が明治が幕開けました。

歴史が示すように時代には、原因や因果の流れがありつながっています。

アナログ世代の私たちは、足りない、不自由を掲げ、欲望の時代スピードに応えるため、開発や向上に努めてきました。競争はさらなる効率を求め、全方向に触手を伸ばし、「良かれ」「良いもの」を追求してきました。

人は勤勉なゆえに多くの実りと豊かさを手に入れて今に至っています。

時代からの求めを先んじて次の世代の技術に託し、より早く、より多くを生み出す土俵を作り上げたのは紛れもない先の世代の人間であったはず。その私たちが作り上げた土俵に、お相撲さんではなく、アバターが立っているのを見て「わからない」というのは無責任だと考えるのです。

冒頭で感じた違和感は、時代としてつながっているはずの私たち世代が、後の世代を理解できないと壁を作ったことに対して感じた矛盾だったのです。

世代間を敬遠しあう時代ではない

厚生労働省の統計データから、2022年の日本の出生数は80万人を下回りました。

2022年12月時点では、
Z世代13~27歳が約1750万人、Y世代28~48歳が約3300万人、X世代49歳から63歳までが約2700万人。
※世代分類は厳密に決められているわけではありません。

Z世代と言われる年代の人が少ないことが分かります。0歳まで(約1500万)枠を広げたとしても3200万人。Y世代に届きません。

時代から受けた価値観で強引に分けるとしたら、わからない世代とした割合のほうが少ないのです。
もちろん日本に住んでいる人は統計データに示された方以外にもたくさんいます。

「わからない」と遠ざける距離は物理的な距離だけでなく、心の距離も生みます。

さいごに

きっかけは、テレビ番組のコメントでした。
理解できないものを敬遠することは防衛本能として良くあることです。でも、基盤を作った自分たちがそこから出現した芽を敬遠するのは、ある意味時代を作った責任を放棄することになるのではないか。という考えに至りました。

かつて私(たち世代)も《今の若い人は~だ。》と、決めつけられたり、新人類などと評されたこともあります。

そもそも、〇世代と分けて考えること自体が無意味だと然る芸能人も声高に訴えます。

なるほどしかりです。

違いは、融合すれば新しいものが出来ます。かつて若者だった私たちも柵外で鑑賞されていたときには世を生きるための不安で震えていました。威勢よく肩で風を切っても、俯瞰した大人には「ビビっていたもの」です。

今、コンプライアンスの壁や、プライベートへの配慮、下手に踏み込めばハラスメントと受け取られ、容易に分かりあえないのに人間関係を築けという矛盾がはびこっています。

新しいものやスピードに気後れして大人世代から距離を置いてしまうのは、先代からもらった恩恵を止めてしまうことなります。

ともに同じ時代を生きるものとして一緒に請け負うことが必要ですし、信じて任せてしまうことも英断なのかもしれません。そのためには、世代や年齢などで判別せずに接していくことが肝要なのかもしれません。

【注意】
本記事は、Z世代の他にも~~世代という世事に触れますが、決めつけや固定観念を植え付けるものではありません。ある言葉への私見として表現させていただきました。感想などコメントいただけると幸いです。

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