コミニュケーションの質を高める有効な方法として、
『正確さ』『分かりやすさ』『相応しさ』『敬意と親しさ』の4つの要素が 報告されています。
※文化審議会国語分科会の資料で (分かりあうための言語コミュニケーション(報告))
報告書には、実際のコミニュケーションで、『例えば、こんな時どうすればいいの?』という場面に、4つの要素を活用して質を高めることが出来るとする質疑応答の章もありました。
35の質疑応答の中から、ピックアップして、ご紹介していきたいと思います。
第7回目(10回シリーズ)は、『お互いにある「差」に気づいた場合』を取り上げます。
※第1回からは本ブログのタグ:コミニュケーションに格納しています。
例えば仕事。経過年数が違えば知識や経験値が違います。また辿ってきた経歴や、習熟度でも幅が違います。同じような距離感を日常会話でも感じることがありますね。 会話の中で感じる違和感を解消することはできるのでしょうか。
言語コミュニケーションにおける Q&Aの中から
設問 相手の持っている知識や情報が十分でないと感じられたり、相手の理解の程度が分からなかったりするような場合、どのような工夫ができるでしょうか。(Q19/35中)
回答 聞き手がどこまで理解できているかの、手がかりを見つける必要があります。
大きくは二つ、相手からの確認の質問や、反応などです。
そして、聞き手の理解の度合いが確認できたら、それに合わせて知識や情報を態度を示すことも大切です。
回答補足
『分かり合うための言語コミニュケーション』への質問 ~第6回・受け手~ では、理解できない場合の【受け手側】悩みを取り上げています。相手の話が理解できない。何か工夫がないかという設問です。
この時も、聞くにはコツがありながらも、確認・質問が大事だと紹介しています。
伝え合うこと、理解してほしい。と会話の目的に集中すれば、相手の理解力は問う必要がないことをお伝えしています。
解 説
回答でいうところの手がかり『相手からの確認の質問』や『反応』を詳しくみていきましょう。
『相手からの確認の質問』とは
相手からの確認や質問は、文字通り、相手から「分かりません」、「詳しく教えてください」など理解できていない箇所をはっきり示された場合を指します。
直球の質問がくれば、相手が何について不明なのか焦点が絞られるので、情報を補足して説明や内容を補うことができます。
確認も、まずはYESかNOで判断でき、自分の内容や説明を補強して双方のギャップを埋めることができます。
また、自分の補足が、満足のいくものかを 確認することで 双方の理解度がさらに高まります。
確認のために質問する側については『第6回目 受け手』の記事でも書いています。
※この記事では、確認の質問のタイミングのむずかしさにも触れています。
相手の理解度(「度」であって、理解「力」ではありません。)によっては、質問や確認自体があいまいな表現になることがあります。それは当然のことと発信する側が理解する必要があります。
発信する側が、質問や確認について不明な点が出れば、その場で相手が言わんとしているポイント探らなければなりません。
一度の質問や確認で、お互いの理解度が同じになるのは難しいと理解する必要があります。どこまでを説明すればの「さじ加減」は、時間や状況などで異なりますが、あきらめないことが重要です。
相手の『反応』とは
相手の反応とは、言葉以外が発する情報です。言語を使わないで、無意識に発する態度(情報)をノンバーバルコミュニケーションといいます。
会話の途中で、うなづいたり首をひねったり、前のめりになったり、視線が合わなくなる。相づちがぎこちなくなったりするなど、聞き手の態度に現れた変化をさします。
これらの変化を読み取ることで、「双方に違和感が生じているな」と察知することが出来るのです。
察知することが出来れば、どの部分が違和感に変化させたのか立ち止まって、説明を補うことができます。自分の補足が、満足のいくものかを 確認することで 双方の理解度がさらに高まります。
実は、設問の『十分でないと感じられたり』、『分からなかったりするような場合』と発信する側が感じているそのものがノンバーバルとして受け取っている情報なのです。
設問の状態を感じた時点で、相手との違和感の原因を解消することができれば、双方の会話における満足度は向上できるとも言えます。
ノンバーバルコミニケションとは
先に上げた態度や、表情、身振り手振りなどの仕草、声のトーン、服装、特定の場所で会話をするなども含まれます。言葉を介さない非言語による会話(情報伝達)をいいます。
無意識に現れることがほとんどですが、「察してほしいオーラ」から、意識的に発する場合もあります。
活字として単語・文章など言葉で伝えてきても、直接的な表現を避ける場合、無意識に言葉を選んでいることもあります。
「空気を読む」「表情を読む」などで得られる情報なので、「気づき」が必要となります。
ただし、ノンバーバルの伝達を「自分の物差し」で「決めつけてしまう」のは、間違えている可能性もあるため注意が必要です。
ノンバーバルコミニケションについては、
ノンバーバル ~非言語のコミニュケーション~ でも詳しく取り上げています。
補足①:スピード
実は、会話のスピードが相手の理解度を遅くしている場合があります。
人間が1分間に話す文字数は約300文字と言われています。
しかし、自分が知っていること、得意なこと、立場として熟知していることは、話すスピードが速くなりがちで、文字数はさらに増加します。
それに比べて、一般的に、人が一瞬で認識できる文字数は13~15文字程度。
どんなに好意的にみても、漏れ出た言葉や単語の数のほうが圧倒的に多いことが分かります。
まして、疑問が生じて理解するために努めようと考えに集中すれば、もう会話のほとんどは「聞いていない」か、「聞けていない」状態に陥るわけです。
聞き手は、理解できていない箇所があれば、頭の中をフル回転させ、整理し、意図していることを補足しているので、他のことは聞き逃す恐れもあり、ついていけなくなれば、会話自体を放棄しかねません。
得意なことをよどみなく、気持ちよく話しているのに、相手はいつの間にか興味をなくしていたり、さっぱり反応がなくなってしまったり。双方に居心地の悪さを感じさせてしまいます。
スピードのずれは、分からない⇒判らない⇒解らないへと増長し、会話全体が成り立たない要因になりえるのです。
つまり、理解力を補うためには、話をする時のスピードも工夫の一つになります。
しかし、全ての会話のスピードを落とすのは現実的ではありません。
強調したい部分、ここは分かりにくいかなと自覚した部分を意識してみるということです。
相手のノンバーバルな情報を得て操作できるようになれば、伝える側のテクニックも冴えるというものです。
電話など対面以外でも、「沈黙」「返答の曖昧さ」「会話のスピードがかわる」などから推察することができます。
※メールなど活字については、ビジネス、関係性、用途に因るので、ここでは割愛します
補足②:量
一度に多くの情報を伝えることも、聞き手側の整理を混乱させる場合もあるので 注意が必要です。
話す件数を予め伝えたり、資料を渡したり、メモを取ってもらったり、何をどこまで理解したか逆に質問・確認をしてみる。
話し手も、一旦自分の話を要約して、何を伝えたいか あえてポイントを伝えることも有効です。
さいごに
補足②で触れた料などについては、
日常会話なのに、まるで仕事の報告をするかのようで「面倒」。そう考えるのは当然かもしれません。
「タイパ」という言葉が生まれる現代。
タイパとはタイムパフォーマンスの略で、自分の時間を大切にしたいので、「効率よく事を進めたい、片づけたい、吸収したい」姿勢を指します。
本来楽しむための会話にもこのような波が表れています。会話を情報伝達だと処理するのは気持ちがざわつきますが、時代に沿った変化を取り込むことは「時に」必要なのかもしれません。
今回の質問で、4つの要素として、おさえたいポイント。 意識したい5つの要素から
『正確さ』③誤解を避けるよう努めているか⑤情報は目的に対して必要かつ十分か
『分かりやすさ』①相手が理解できる言葉を互いに使っているか④互いの知識や理解力を知ろうとしているか『敬意と親しさ』③親しさをうまく伝え合っているか
出展
文化庁
https://www.bunka.go.jp/
文化庁/「分かりあうための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/04/09/a1401904_03.pdf
パンフレット:「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/wakariau/pdf/r1403493_02.pd
仕事に関する話も、何気ない日常会話でも、伝え「合う」以上は『やりとり』ですね。会話を良く キャッチボールと例えますが、投げて受け止めるの繰り返し。うまくラリーが続けば楽しいです。
とはいうものの、ストライクもあれば、時に悪送球もあるかもしれません。うまくいかないからこそ、工夫や配慮が生まれ、違いを知ることが出来ます。世代間、外国の方、自分の方法だけでは伝わらない場面は多くなるでしょう。練習あるのみですね。
ちなみに実際のキャッチボールは いつまでたってもうまくなりません。コツは何でしょう…
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